富士キメラ総研は,ビッグデータ,IOT関連ソリューション分野で新たな需要が期待されるセンサーの市場を調査し,その結果を「2015 センサーデバイス/ビッグデータ・IOT市場調査総覧(上巻)」にまとめた(ニュースリリース)。
7カテゴリー33品目のセンサーの市場規模や需要分野別動向,今後の方向性を調査し,ビッグデータ,IOT関連ソリューション分野における需要性を分析した。
それによると,センサーは自動化,省力化,品質保持,セキュリティ,省エネ,環境保全,防災など,さまざまな用途で活用が進んでおり,素材の高機能化や実装技術の進展によって,小型化や省電力化,フレキシビリティの向上が図られており,スマートフォンやウェアラブル端末といったモバイル端末や自動車など,需要分野や搭載数は拡大を続けるとしている。
また,センサーおよびセンサーを搭載したデバイス間でのネットワーク接続と高度情報処理技術の融合により,センサーの新たな用途が期待されており,センシングしたデータを企業サービスや身近な生活に活用していくビッグデータ,IOTに対する取り組みが活発化している。
2014年度のセンサー世界市場は4兆5,771億円,311.4億個となった。センサーの用途は産業用から民生用まで多岐に渡るが,スマートフォンと自動車への搭載数の増加により市場は拡大を続け,2019年度には5兆5,576億円,418.6億個を予測する。
■光・電磁波センサー
市場の大半を占めるCCD/CMOSエリアイメージセンサーがスマートフォン向けで好調。また,市場は小さいものの紫外線センサーはスマートフォンに加え,ウェアラブル端末への搭載が期待される。
■熱的・時間空間雰囲気センサー
流量センサーが市場の大半を占める。新興国を中心とするプラントや工場,水インフラへの投資増加により市場が拡大している。
■機械的・物理的センサー
市場規模が大きいのは製造現場での利用が中心の圧力センサーと,スマートフォンやタブレット端末など民生用電子機器,自動車向けで利用される加速度センサー。その他,変位センサー,ロータリーエンコーダー,ひずみゲージは製造業での設備投資意欲の回復やIndustrie4.0への取り組みを背景に拡大が予想される。
自動車,電子機器向けで利用されるセンサーは加速度センサーの他に角速度センサー,圧力センサー(民生用は気圧センサーと呼称)などがある。自動車向けは堅調な伸びが予想されるが,電子機器向けでは加速度センサーに角速度センサーを組み合わせた6軸センサー(加速度センサーに分類)の採用が進んでおり,角速度センサー単体の市場は縮小を予想する。
■ケミカル・バイオセンサー
医療/ヘルスケア分野でセンサーの重要度が増しており,市場は拡大。市場規模の大きいグルコースセンサーは糖尿病患者の血糖自己測定で利用。またガスセンサーと空燃比センサーは,今後燃料電池車向けが期待されるほか,エネルギーマネジメントシステムにおける空調制御を担う環境センサーとして需要増加を予測。
■生体センサー(下記伸長率ランキング参照)
■音波・磁気センサー
距離測定や物体検知用途で利用されるセンサーが多い。超音波センサーは自動車メーカーが先進運転支援システム(ADAS)への取り組みを強化していることから,自動車向けが拡大。
センサー伸長率ランキングでは,伸長率ランキングの上位は生体センサーが占めた。ランキング上位の内、2019年度の市場規模が1,000億円以上なのは指紋センサー,レベルセンサー。味覚センサーは日系企業が世界に先駆けて製品化したこともあり,国内需要が市場をけん引。国内での有効活用事例や認知度向上,試験導入による実用性の評価により,海外においても今後普及が期待。
脳波センサーは玩具向けが中心だが,脳科学や心理学などのアカデミック領域の研究が進むことで介護福祉におけるコミュニケーション,スポーツにおけるメンタルトレーニング,電動一輪車などの次世代モビリティなどへの採用が期待されるとする。
脈波センサー,指紋センサーはバイタルデータを用いた健康管理やセキュリティ対策でのスマートフォン向けが中心であり,特に指紋センサーは搭載が進んだことで急拡大している。また,脈波センサーはウェアラブル端末にも利用されている。
レベルセンサーは主に製造プロセスで利用される。ドイツのIndustrie4.0をはじめ,製造業のIT化を進める政策が各国で推進されており,生産性の向上や省エネなどを実現するセンサーの需要増加を予想する。