車載用センサーの世界市場,2020年に3兆円突破へ

矢野経済研究所では,車載用センサーの世界市場について調査を実施した(ニュースリリース)。

ここでの車載用センサーとは,自動車の各種システムを制御するために必要な情報(回転,角度,圧力,衝撃,速度,物体)を検知するためのデバイスを指す。この調査では,エンジンを制御するパワートレイン,電動パワーステアリングやブレーキなどのシャーシ/セイフティ,ヘッドライトやエアコンなどのボディ,ADAS(Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム),HV(Hybrid Vehicle) /EV(Electric Vehicle)向けなどの制御系別に搭載分野を分類した。

センサーデバイスの種類は磁気センサー,半導体によるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサーなどがあり,乗用車および車両重量3.5t以下の商用車に搭載されるデバイスを対象としている。

◆2014年における車載用センサーの世界市場は、前年比26.8%増となる2兆2,543億円
パワートレイン向けやADAS(先進運転支援システム)向けセンサーの市場が堅調に増加し,2014年の車載用センサーの世界市場規模(メーカ出荷金額ベース)は2兆2,543億円(前年比26.8%増)に拡大した。制御系別に内訳をみると,最も構成比の大きいのがパワートレイン向けセンサーの9,129億円で市場全体の40.5%を占める。次いで,シャーシ/セイフティ向け6,714億円(29.8%),ボディ向け3,625億円(16.1%),ADAS向け2,973億円(13.2%),HV/EV向け102億円(0.5%)となった。

◆2020年における車載用センサーの世界市場は,環境規制や燃費向上,ADASの普及拡大などがプラス要因となり3兆1,487億円に達すると予測
今後,環境規制や燃費向上のために,ダウンサイジングエンジンの採用,トランスミッションの多段化が進展し,パワートレイン向けセンサーの需要は拡大する。さらに,日本,米国,欧州および中国市場におけるADASの普及拡大が期待されるために,車載用センサーの世界市場は,2014年から2020年までの年平均成長率(CAGR)が5.7%で成長し,2020年の同市場規模(メーカ出荷金額ベース)は3兆1,487億円に達すると予測する。

◆ADAS向けセンサーの伸びが最も大きく,2020年の市場規模は9,094億円,2014年から2020年までの年平均成長率は20.5%に達すると予測
今後,ADASの検知精度向上,多機能化のために,複数個のセンサーを搭載するセンサフュージョンが中心になり,車両1台あたりに搭載されるADAS向けセンサの数量も増加する。また,フロントだけでなく,サイドやリア検知向けセンサーの需要も見込める。このため,2014年から2020年までのADAS向けセンサー世界市場の年平均成長率(CAGR)は20.5%で成長し,2020年の同市場規模(メーカ出荷金額ベース)は9,094億円に達すると予測する。