矢野経済研究所では,車載用タッチパネルの世界市場の調査を実施した(ニュースリリース)。ここでの車載用タッチパネルとは,カーナビ等の車載機器向けに搭載される,抵抗膜方式や静電容量方式,赤外線方式のタッチパネルモジュール。また,車載機器には,メーカー純正品,ディーラーオプション品,アフターマーケットで販売される市販品の全てを含む。
それによると,市場は拡大基調が続く車載用タッチパネル(以下,車載TP)世界市場は,主要な用途であるカーナビ市場拡大とディスプレイオーディオ(DA),リアシートエンターテイメントシステム等の用途拡大,自動車のIT化を背景に,車載ディスプレイの採用拡大に牽引されてTPの搭載率が向上したこと等も車載TP市場の成長要因となり,車載TP 世界市場規模(メーカー出荷数量ベース)は2014年が2,495万枚となり,2015年は前年比114.8%の2,866万枚に拡大と予測する。
現状,車載TPの方式には,抵抗膜方式と静電容量方式,赤外線方式がある。2014年の車載TP世界市場では,抵抗膜方式TPが2,375 万枚(構成比95.2%),次いで静電容量方式TPが120万枚(同4.8%),赤外線方式TPが3,000枚(同0.01%)となった。
車載用では抵抗膜方式TPが主体となっているが,スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い,車載機器向けでも同じ操作感を求める消費者ニーズが増えること,自動車メーカーやTier1(一次請け自動車部品メーカー)では機器のデザイン性向上のためTPの薄型化と曲面ディスプレイ対応を求めるようになることなどから,静電容量方式の車載TPの採用が増加し,2016年の静電容量方式の車載TP世界市場(メーカー出荷数量ベース)は2015年比485.7%の1,253万枚まで成長すると予測している。
静電容量方式の車載TP市場の需要拡大に伴い,タッチパネルメーカーのほか,ディスプレイメーカーも同市場に積極的に参入している。ディスプレイメーカーは車載用ディスプレイ事業強化の一環として,TPとLCDを貼り合わせたTP+LCDセット品の販売に注力するほか,2018年から2019年にかけて製品化されるモデルに対し,インセルやオンセルといった,タッチ機能内蔵型ディスプレイの開発も進めている。