島津製作所は,光感度を従来機の約6倍に向上させ,最高1,000万コマ/秒での超高速な撮影が可能な高速度ビデオカメラ「Hyper Vision HPV-X2」を7月16日に発売する(ニュースリリース)。価格は2,900万円(ソフトウェア込,税別)
近年の医療分野や産業分野では,マイクロバブル,インクジェット,インジェクションなど,視野範囲にして10μmから10mm程度の微小な領域で起こる超高速現象に関する研究が増加している。
高速度ビデオカメラで微小領域を撮影する場合,顕微鏡など高倍率な光学系と組み合わせて使用するため,イメージセンサに入射するわずかな光を捉えられる高い光感度が必要とされていた。
また,炭素繊維強化プラスチックといった材料の強度試験や高速衝撃試験においては,2台の高速度ビデオカメラでステレオ撮影を行ない,材料の破壊時や高速衝撃時の変形挙動の3次元的な解析が行なわれている。
新製品は,東北大学工学研究科・須川成利教授と共同で開発した新しいCMOSイメージセンサ「FTCMOS2」を搭載している。撮影速度や記録コマ数,画素数などはそのままに,従来機の約6倍の光感度を実現した。また,この製品2台を同期させて同じタイミングで撮影する機能も新たに搭載した。
新製品の特長は以下の通り。
1. 従来機の約6倍となる光感度を実現
新型イメージセンサ「FTCMOS2」により,最高撮影速度が100万コマ/秒以上かつQVGA(320×240ピクセル)以上の実用的な記録解像度を有する高速度ビデオカメラ製品の中では,世界最高クラスとなるISO16000の光感度を実現。これは従来機の約6倍の光感度であり,同じ光学条件では従来機よりも明るく鮮明な画像を得ることができる。
2. 2台の装置の撮影タイミングを同期させる同期撮影機能を搭載
このカメラを2台を接続することで,2台の撮影タイミングを正確に同期させて撮影を実行できる。この機能により,被写体の変化を2方向から同時に観察できる。また,市販の画像解析ソフトウェアを使用して被写体の変化を3次元的に解析することも可能になる。
3. 世界最高クラスとなる1,000万コマ/秒の撮影速度と256枚の記録コマ数
従来機同様,記録コマ数が多いHP(Half Pixel)モードと解像度が高いFP(Full Pixel)モードの2種の撮影モードを選択できる。HPモードは最高1,000万コマ/秒の撮影速度を有しており,記録コマ数は256枚,解像度は5万画素。FPモードは最高500万コマ/秒の撮影速度を有し,記録コマ数は128枚,解像度は10万画素となる。HPモードにおける最高1,000万コマ/秒の撮影速度と256枚の記録コマ数はそれぞれ世界最高クラス。