全国の主要家電量販店などの実売データを集計する「BCNランキング」は,液晶テレビの販売実績を公表した(ニュースリリース)。
それによると,液晶テレビの販売が回復基調に乗り始めた。販売台数は7か月連続で前年を上回り,平均単価も6万円台半ばまで回復してきた。特に販売金額は3年前の水準まで戻してきており,徐々にではあるが,市場に明るい光が差し始めた。
市場をけん引しているのは4Kテレビ。50型以上の大型テレビに占める4Kモデルの販売台数構成比はほぼ半数の47.2%まで拡大。「大型なら4K」の流れが鮮明になってきた。
一方,メーカ別では伸びが著しいのがソニー。前年比で倍増のペースで拡大している。一方,液晶テレビトップシェアのシャープは,前年比で1ケタの伸びにとどまっているなど,メーカ別に濃淡も明確になってきた。
■台数は7か月連続で,金額も2か月連続で前年超え
液晶テレビの販売台数前年同月比は,14年11月に103.6%を記録して以来,15年5月まで7か月連続でプラスを維持している。特に3月は,14年3月に起きた消費税増税前の駆け込み購入の翌年だったにもかかわらず101.4%と,わずかとはいえ前年を上回った。CATVのデジアナ変換終了に伴う特需が下支えしたことによるものが大きいと見られる。さらにその翌月の5月も117.9%と2割近く前年を上回った。
一方販売金額は3月こそ大きく前年を下回ったが,4月,5月と2か月連続で前年を上回っており,台数・金額の両面で市場の回復の兆しが見えてきた。販売台数の規模では,5月現在で12年の水準には届かないものの,13年,14年の水準はクリアしている状況。
また,過去3年で比較すると,販売金額はすでに12年の水準を上回っており,中期的に見ても液晶テレビは回復局面に入りつつあるとしている。
液晶テレビの平均単価(税抜き・以下同)は,3年前の12年は5万円を割り込んでいたが,この5月では6万5500円と6万円台半ばまで回復。また,このところ10%前後で推移していた50型以上の大型モデルの販売台数構成比も,5月には14.0%と過去最大を記録。大型化がまた進み始めた。
販売金額の回復を支えている平均単価の上昇は,4Kテレビの拡大によるところが大きい。今年に入ってしばらく足踏み状態が続いていた4Kテレビだが,4月,5月で再び拡大トレンドが鮮明になった。液晶テレビ全体に占める4Kテレビの販売台数構成比は,4月で7.5%,5月で11.1%と初めて1割を超えた。販売金額では4月25.9%,5月32.5%とこちらも初めて3割乗せを果たし,売り上げに勢いがついてきた。
■メーカ別では伸び目立つソニー,4K拡大がけん引
メーカ別の動きを見ると,液晶テレビ市場の回復をけん引しているのは,15年5月の販売台数シェアが18.1%で2位のソニー。14年5月以降13か月連続で前年比増を続けており,この5月でも販売台数は194.8%とほぼ倍増の勢い。台数規模では3年前の12年の水準を上回った。販売金額でも3年前の1.8倍の水準にまで売り上げを拡大させており,回復の足取りは力強い。平均単価も9万5700円と主要4社では最高。
また,同社の液晶テレビに占める解像度別構成比では,唯一4Kモデルの販売台数比率が2割を上回っており,販売金額では51.4%と過半数に達しているなど,4Kをはじめとするプレミアム路線重視の戦略が同社の勢いを生み出している。
一方,38.1%でトップシェアのシャープは,伸び率ではソニーほどの力強さはないものの,5月の販売台数前年同月比で108.1%とプラスに,販売金額も118.3%と2ケタ増を達成した。
ただ,平均単価は6万1100円と主要4社の中で最安。製品全体に占める4Kモデルの比率も7.6%と唯一1ケタ台だ。4Kモデルでは,各社の50型未満の製品が拡大するなか,シャープは50型以上の構成比が83.1%を占め,4Kの「小型化」にやや後れをとった感がある。これが4Kモデルの台数構成比が伸び悩んでいる要因の一つだと分析する。
一方,低価格のHD以下モデルの販売台数構成比が5割を超えている状況で,利益率の低い製品群の比率が高い。収益力を上げるにはこうした構造を変える必要がありそうだとしている。
液晶テレビシェア14.9%で3位のパナソニックは,5月の販売台数前年比は101.2%とほぼ前年並み。しかし,販売金額は113.3%と2ケタ増を達成した。同社の4Kモデルの販売台数構成比は14.4%とソニーに次いで高く,一時6割近くあったHD以下モデルも5割を切り始め,徐々に高収益モデルの構成比が高まっている。
このため,販売金額構成比はフルHDモデルが37.4%,4Kモデルが35.0%と拮抗してきた。特に4Kモデルのうち,手頃な価格の40型台の構成比が5割を超えてきており,こうした小型の4Kを足がかりにシェアの拡大も期待できる。
液晶テレビシェア13.3%で4位の東芝は,販売台数こそ前年同月比109.1%と市場拡大に寄与したものの,販売金額は主要4社の中で唯一前年割れの93.6%に終わった。
同社4Kモデルの台数比率は,かろうじて2ケタ台の10.5%だが,突出して構成比が高いのがHD以下モデルの59.0%。対してフルHDの構成比は30.5%に過ぎず,利益率が低い製品群の構成比がきわめて高いという構造になってしまっている。
そのため,販売金額構成比では,HD以下,フルHD,4Kとそれぞれ30%台で拮抗しており,それでも稼ぎ頭は4Kモデルの36.6%という状況。4Kの台数構成比を伸ばし,収益力の強化が求められそうだとている。
■「V字回復」には,4Kプラスアルファの要素が必要
メーカ別の動きを見ると,液晶テレビ市場の回復をけん引しているのは,15年5月の販売台数シェアが18.1%で2位のソニー。14年5月以降13か月連続で前年比増を続けており,この5月でも販売台数は194.8%とほぼ倍増の勢い。台数規模では3年前の12年の水準を上回った。
販売金額でも3年前の1.8倍の水準にまで売り上げを拡大させており,回復の足取りは力強い。平均単価も9万5700円と主要4社では最高。また,同社の液晶テレビに占める解像度別構成比では,唯一4Kモデルの販売台数比率が2割を上回っており,販売金額では51.4%と過半数に達しているなど,4Kをはじめとするプレミアム路線重視の戦略が,同社の勢いを生み出しているとしている。