コヒレント,産業/医療応用向け次世代COレーザを提案

米コヒレントは,ガラス切断,穴あけなどの材料加工からフラクショナルレーザ皮膚治療などに対応する次世代COレーザ「J-35µm」の開発に成功した(ニュースリリース)。

COレーザは,何十年も前に開発されていたが,寿命が短く,低出力で行なえるごくわずかな研究用途に使用が限定されていた。今回,同社は長年注力してきたスラブ型CO2レーザと同様の寿命,信頼性,メンテナンス性を兼ね備えた新しい高出力COレーザを誕生させ,その使用可能な領域を広げた。

波長10.6µmのCO2レーザと異なり,COレーザの波長はおよそ5µm。CO2レーザの長波長では透過してしまう材料も,波長5µmを吸収する材料もあるため,様々な材料加工の可能性を拡げる。

例えば,5µmはプリント基板で使用されている誘電体材料や酸化銅だけではなく,プラスチックフィルムやポリマー,水などにも強い吸収を持っている。これは,これらの材料に高効率で加工できることを意味する。

逆にカルコゲナイドファイバは,5µmの波長では低い吸収率であるため,ファイバ伝送の可能性を拡げる。(特定の応用では,ファイバ伝送が理由でCO2レーザの使用が制限されていることがある)

加えて,COレーザの波長は,CO2レーザに比べ短いため,CO2レーザの1/2のスポットサイズに集光できる。その結果,より狭い切断幅を実現できることはもとより,小径の穴加工に対応することができる。

産業用COレーザJ-35µmは,出力200W以上で,高いビーム質(M2<1.2)を実現しているため,より小さなスポットサイズにできる利点を持つ。