ウシオ,紫外線殺菌法について米大とライセンス契約

ウシオ電機は,特定波長帯域の紫外線を使用して手術部位などの感染を防ぐ紫外線殺菌法の研究開発および製品化を推進するため,米コロンビア大学と狭帯域スペクトル紫外線技術の独占ライセンス契約および,研究委託契約を締結した(ニュースリリース)。

コロンビア大学は,エキシマランプによる特定波長帯域の紫外線などを使用する狭帯域スペクトル紫外線技術を使用して,ヒト細胞やヒト組織を損傷せずに選択的に細菌,ウイルスを死滅させる殺菌システムを開発した。

この方法ではエキシマランプなどによる約200 nm〜230 nmの紫外線のうち,230nm以上の波長をフィルターでカットしたKrBr(207nm)および,またはKrCl(222nm)が使用可能。

これら特定波長を含む帯域の紫外線は,細菌を貫通し死滅させることができるが,細胞レベルではヒト細胞核まで,組織レベルでは皮膚上皮や目の水晶体の感受性細胞まで到達することがない。

そのため,従来の紫外線ランプの殺菌作用のメリットは維持しつつ,従来の紫外線よりもヒト細胞の生物学的損傷が劇的に少ないことが最新の研究で判明している。

殺菌可能な細菌,ウイルスはMRSA,インフルエンザ,SARS-CoV(サーズコロナウイルス),MERS-CoV(マーズコロナウイルス),エボラウイルスを含む。

一方,ウシオはエキシマランプを世界で最も早く開発・実用化し,半導体,液晶パネル製造などのプロセスにおいて,主に光洗浄を目的にした製品を製造販売してきた。また,最近では水殺菌や脱硝などへの利用も研究し,エキシマランプによる遠紫外線のアプリケーション拡大に取り組んでいる。

今回の契約締結により,ウシオは新たに医療現場での細菌感染を防ぐためのエキシマランプの用途開発を推進し,2015年冬から臨床研究をアメリカ,シンガポール,日本など世界数か所で開始し,2017年ごろの製品化を目指す。さらに衛生・医療分野にも進出し,エキシマランプによる安全で確実な殺菌用システムの事業化を目指すとしている。