古河電工ら,世界トップクラス導電率のCNTを開発

古河電気工業(古河電工)は,信州大学と共同で,世界トップクラスの導電率となるカーボン・ナノチューブ(CNT)導体の開発に成功した(ニュースリリース)。

この成果は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する助成事業「低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト」に採択され,今後,実用化へ向けた研究開発が行なわれる。

CNTは炭素原子が六角形に結合したシートを,円筒状にした構造の物質。銅の1/5の軽さで鋼鉄の20倍の強度,電流密度は銅の1,000倍という優れた特性を持つ。CNTはナノ炭素材料の一つとして,電子部品の軽量化や大幅な性能向上に貢献する素材としても期待されている。

今回同社は,CNTの世界的な研究開発機関である信州大学のカーボン科学研究所と共同で,世界トップクラスの導電率を有するCNT導体の開発に成功した。また,この開発成果をもとに,NEDOの「低炭素社会を実現する炭素材料実用化プロジェクト」助成事業に,「ナノ炭素材料軽量導線の開発」テーマとして提案し採択された。

この事業は,信州大学に一部を委託した上で,今後2年間でCNTを用いた超軽量電線の開発を行ない,電線として実用に耐え得るサンプルを完成させる予定。

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