通信用光ファイバ量産製法「VAD法」が,IEEEマイルストーンに認定

日本電信電話(NTT),古河電気工業(古河電工),住友電気工業(住友電工),フジクラの4社が共同で研究開発した高品質通信用光ファイバ量産製法「VAD法」が,電気・電子・情報・通信の技術分野における世界最大の学会であるIEEEより,「IEEEマイルストーン」の認定を受けた(ニュースリリース)。

通信用光ファイバは,光ファイバの基となる円柱状のガラス母材を作製し,この母材を加熱して細い糸状に線引きすることで作られるが,光ファイバ通信の普及には,光ファイバの低損失化とともに量産性に優れた製造方法の確立が求められていた。

4社が共同開発したVAD法は,反応性の高い火炎加水分解法によりガラス微粒子(SiO2-GeO2)を出発材の先端に下方に堆積しながら,堆積した部分の外側をSiO2ガラスの微粒子で覆い,多孔質ファイバ母材を作製するというものだが,一軸方向(上方)に引き上げながら多孔質ガラスを成長できるため,大型のファイバ母材を作製できるのが特長。これにより,量産性が高まる。


認定記念の銘板

VAD法による光ファイバ製造法

 

ファイバ母材の製造法には,この他にMCVD法やOVD法がある。このうち,MCVD法は低損失な光ファイバの作製に適しているものの,母材の太さと長さに制限がある。一方のOVD法はファイバ母材の大型化が可能だが,長さの制限にくわえ,多孔質ファイバ母材を高温処理により透明ガラス化する前に心棒を引き抜く工程で,母材と心棒が接している面にキズがつきやすいといった弱点がある。

VAD法は,こうした課題を解決するもので,広く採用が進んでいる。今回の認定はこの点が高く評価された。認定に伴いIEEEより贈呈された記念の銘板は,各社のVAD法の研究開発や光ファイバ製造とゆかりのあるNTT厚木研究開発センタ,古河電工三重事業所,住友電工大阪製作所,フジクラ佐倉事業所に常設展示される。