国際光年記念シンポジウムが4月21日,東京大学・安田講堂において開催された。およそ1,000名の参加者が訪れ,盛況のうちに日本における国際光年がキックオフ。今後の光産業・技術の発展を祈念するものとなった。
シンポジウムでは,まず荒川泰彦東大教授が開会宣言を行ない,続いて大西隆日本学術会議会長,川上伸昭文科省科学技術・学術政策局長,五神真東大総長,中村道治科学技術振興機構理事長が挨拶した。
その後講演に移り,最初に霜田光一東大名誉教授が登壇。LEDを用いた光電効果の実験をデモンストレーションするなど「光の科学」に留まらず,光技術の応用にも触れた。 続く家正則国立天文台教授は8mミラー搭載のすばる望遠鏡による成果から,いよいよ建設が開始された30mミラーを搭載したTMTを解説した。
次に,照明デザイナーの石井幹子氏が,自身が手掛けた東京タワーやレインボーブリッジ,海外における建築物への照明デザインを紹介。LED照明と太陽電池を用いた省エネ照明デザインを主体としている点を強調した。
特別講演ではノーベル物理学賞を受賞した天野浩名古屋大学教授がノーベルウィークでの出来事を紹介したのち,高品質GaN基板の開発から青色LEDの実現までの経緯,さらに今後の研究の方向性を示した。
会場となった安田講堂では,パイフォトニクスが開発するホロライトで光を演出。このホロライトは平行光が特長だが,特殊レンズがプリズムの役割を果たし,アーチ型のレインボー色の光を作り出した。
2015年は国際光年だが,業界関係者にとっては毎年が「光年」である。今回の記念行事では,光技術を産業・社会に広く深く浸透させるため,今後の研究・開発やビジネスの方向性を確かめ合うものとなった。