NICT,リアルタイムに大画面3D CGを作製・表示するシステムを開発

情報通信研究機構(NICT)は,200インチ超多視点裸眼3Dディスプレイ(REI: Ray Emergent Imaging)に,CG映像を瞬時に生成・表示できるシステムの開発に成功した(ニュースリリース)。

NICTが開発した超多視点裸眼3DディスプレイREI は,世界最大級となる200インチの大画面を有し,奥行きのある空間を高品質に再現できるが,それにはハイビジョン解像度のプロジェクター約200台分に相当する膨大な映像情報の生成が必要となる。このような高品質の立体映像を単に見るだけでなく,映像の内容に対して自由な操作(見ている物の視点を変える,移動させるなど)ができれば,更に臨場感を高められる。

今回,異なる約200視点のCG映像を計算機群により分散処理して,時々刻々と変化する情報の計算結果を即時に可視化できる装置の開発に成功した。生成した映像を伝送するこれまでの方式に対し,今回は,モデル化したデータを伝送して現地で変換・処理する方式であるため,伝送するデータ容量の削減にも貢献している。

また,一般的な手法で制作されたCGコンテンツを,超多視点立体映像に変換するためのソフトウェアフレームワークを同時に開発した。

通常,立体映像コンテンツの制作や視点ごとの映像生成には,表示対象の3Dディスプレイ特有の知識が必要となるが,このフレームワークは,CGコンテンツ制作の分野で普及し,標準的に用いられているミドルウェア上に実装されている。この結果,インタラクティブに(自由で対話的に)操作可能な超多視点の立体映像コンテンツ制作やセンサデータの可視化を行なうことが容易になった。

これにより,例えば車や商品などのCGモデルから,リアルタイムに映像を生成し,立体映像表示することが可能になる。操作によって,車の色や模様,商品の種類や材質などを即座に変更することができる。この機能により,顧客の反応に応じて変化するデジタルサイネージや,多人数で楽しめる立体映像のアトラクション,各分野におけるシミュレーション結果の可視化への応用などが期待できる。

このシステムは,グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタルの超多視点裸眼3DディスプレイREI上で,平成27年4月1日から運用する。NICTは今後,このシステムによる実証実験や調査研究において,内外の研究機関や大学・企業との連携を進めていく。

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