カネカは,同社のスレート用太陽電池モジュールに多結晶シリコンタイプを追加した(ニュースリリース)。同社はこれまで,ハウスメーカ向けに薄膜シリコンタイプの太陽電池パネルを扱ってきたが,より大きな発電量を求める声に応え,出力の大きい多結晶シリコンタイプを新たにラインナップに加えた。
同社の薄膜シリコンタイプ太陽電池は,これまで瓦一体型と化粧スレート瓦型の2タイプを展開しており,出力は瓦一体型モジュール(働き寸法:280×1000mm)が1枚あたり25W,化粧スレート型モジュール(働き寸法:364×1000mm)が1枚あたり33Wとなっている。変換効率はいずれも10%弱。
今回,ラインナップした多結晶シリコンタイプ太陽電池のモジュールは,寸法が400×1000mmで,出力は1枚あたり46Wとなっている。変換効率はモジュール効率で12.6%(実効変換効率15.7%)。価格はオープンとなるが「当社の製品は屋根にフィットするように意匠を凝らしており,他社の同等製品よりも高めの設定にしたい」(同社担当者)としている。
同社は製品を住宅メーカに供給しているが,近年は新築住宅着工件数が伸び悩み,今後さらに少子化による需要減が見込まれている。しかし,改正省エネ基準の施行によりゼロエネルギー住宅の普及が進むことから,新築住宅への太陽電池の設置の需要は増えるとみている。
また,同社は産業技術総合研究所と共同研究した技術を用いて,銅電極ヘテロ接合モジュールを開発している。これはアモルファスシリコンと単結晶シリコンを積層した太陽電池セルをモジュール化したもので,電極に銀の代わりに銅を用いることで低コストと低抵抗を両立した。
これは一般家屋向けながら,まずは現行製品のような瓦型とは異なるタイプになるとみられる。すでにセルを6×9で配列した試作品も完成しており,出力は250Wと260Wの2タイプを揃えた。変換効率は18%程度だとしている。発売時期は未定だが,すでにモジュール化に成功していることからも,そう遠い話ではないとしている。