日本フォトニクス協議会(JPC)分科会・産業用LED応用研究会が2月16日,浦添市てだこホール・市民交流室(沖縄県浦添市)において開催された。JPC分科会・産業用LED研究会は名古屋大学教授の天野浩氏が委員長を務める。今回,天野氏のノーベル物理学賞受賞後の最初の研究会となったが,当日は会員をはじめ,地元の大学生や高校生,企業など多くの聴講者が集まった。
冒頭,JPC理事長の羽鳥光俊氏(東京大学・名誉教授)が開会の挨拶に立ち,続いて登壇した天野氏は「青色LEDの開発は,当初はディスプレイへの応用を目指していたが,照明にも広がった。LEDは様々な応用が考えられる。研究会を通じてLEDの固体素子という特性を生かし,新たな産業を作り出したいと思っている。その実現に向けて会員各位のお知恵を拝借したい」と語った。
この後,工学院大学・教授の本田徹氏が「集積化LEDを用いたマイクロディスプレイの提案」をテーマに講演を行った。さらに今回沖縄での開催を主催した,JPC理事で琉球大学・教授の波平宜敬氏が「LED関連の標準化の進め方についての提案」をテーマに講演,続いて沖縄県の4社のベンチャー企業(ランプサーブ,マリンコムズ,未来企画,琉球工学研究ユニット社)がそれぞれ製品・技術を紹介した。
午後からは場所を大ホールに移し,天野氏による特別講演会が行なわれ,地元の高校生,大学生など1,000名を超える来場者が集まった。天野氏は自身の小学生から学生時代を振り返り,青色LEDの研究をはじめるまでのエピソードのほか,ノーベル賞受賞後から授与式までの出来事を語った。
「高校生まで勉強する意味が分からなかった」という天野氏。大学に入ってから講義の中で,工学部の「工」が,「一(ひと)」と「一(ひと)」をつなげる「|」という話を聞いて,その意味を理解したという。「人のために役立つことをする」という信念を抱き,青色LEDの研究に突き進んだことを明かした。
講演終了後は高校生からの質問を受け,天野氏は笑顔で丁寧に答えていた。天野氏は,今後アプリケーションの拡大が期待されている深紫外LED/LDの開発に加え,エレクトロニクスでエネルギー問題を解決するアプローチの研究に注力していくとしている。