国立極地研究所,全天周8K解像度によるオーロラ映像の連続撮影に成功

国立極地研究所と日本科学技術振興財団の研究グループは,世界初となる全天周8K解像度によるオーロラ映像の連続撮影に成功した(ニュースリリース)。

また,2月13日(金)には,この研究で撮影した全天周8K解像度のオーロラ映像の上映と,撮影システムと画像処理の研究開発に関する講演を,8Kドーム映像を体感できる高解像度デジタルプラネタリウム神楽洞夢(三重県津市)で行なう。

研究グループは,オーロラの全体像と微細な構造を同時に撮影するため,新たに全天周8K撮影システム「ハウル」を開発した。「ハウル」は,デジタル一眼レフカメラNikon D800Eを5台,東西南北と天頂に向けて直角に配置し,デジタルカメラ制御ソフトNikon Multi Camera Controlを用いて5台同時にシャッターを切り,視野が重なり合う5枚の対角魚眼写真を合成することによって全天周8K分解能を実現している。

全天周8K分解能とは,円周魚眼フォーマットの直径で8000ピクセルを超える分解能。従来の単一カメラによる全天周ドーム映像と比べて10倍以上の画素数になっている。

2月13日には,全天周8K映像が上映できる「岡三デジタルドームシアター『神楽洞夢』」において,「ハウル」により撮影した全天周8Kオーロラ映像を初公開する。上映する映像は,2014年で最大の磁気嵐が発生した2014年2月19日の一晩を,米アラスカ大学のポーカーフラット実験場で,日本からの遠隔操作によって連続撮影したもの。太陽活動極大期ならではの美しいオーロラ実写映像を詳細に観察できる。上映時には,撮影システムおよび画像処理の研究開発に関する講演も行なう。

今回開発された技術は,例えば,皆既日食のように空全体の中でも小さな現象と,オーロラのように空全体に広がる現象を同時に観察するような,新しい観測方法の基礎になるもの。また,「ハウル」の下部にカメラを1台追加するだけで,6台構成による360度カメラとして空間全体をアーカイブすることができる。

研究グループは,カメラの数を増やせばそれだけ精細な映像を撮影でき,これを仮想空間に投影すれば,その空間に実際にいるようなリアルな体験を実現できるとしている。

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