立天文台,兵庫県立大学などの研究チームは,フィンレー彗星のアウトバースト(急激な増光現象)の多色同時観測に成功した(ニュースリリース)。アウトバーストした瞬間の詳細を多色カメラを用いて捕らえた観測例は極めて稀。
研究グループは,2014年12月中旬に1回目のアウトバーストが報告されたフィンレー彗星(15P/Finlay)について,2014年12月下旬より撮像観測によるモニターを続けていた。
フィンレー彗星は徐々に暗くなっていったが,2015年1月16日には,石垣島天文台1m望遠鏡に搭載した3バンド同時測光カメラ(MITSuME)が急激な増光を捉えた。その後,同じくMITSuMEカメラを持つ岡山天体物理観測所の50cm望遠鏡による観測では,1月17日から19日にかけてバースト放出物と推測される不規則なダスト雲の変化していく様子を捉えている。この結果から,フィンレー彗星は,2014年12月に引き続き,2回目のアウトバーストが起きたとしている。
研究グループは「今回取得した画像を解析することによって,アウトバーストのメカニズムや,彗星探査機で調査することが困難な彗星本体の内部構造を調査することができる」としている。