米コーニング・インコーポレイティッドは,液晶テレビをスマートフォンレベルまで大幅に薄型化することを可能にするガラス基板「Corning Iris™ Glass」を発表した(ニュースリリース)。
同社は,エッジライト方式液晶テレビ向けガラス導光板として,この製品を開発した。全ての液晶ディスプレイは,画像を表示するためにバックライトを必要とするが,導光板は,LED光を一定方向に伝播するために必要な,バックライトに不可欠な部品。
Iris Glassは光透過率に優れ,これにより明るい画像が実現し,ガラスを導光板材料として利用することが可能になった。エッジライト方式液晶が市場に現れ始めた当時,ディスプレイ業界は,ガラス導光板を用いることを望んでいたが,光透過率が問題となり,これまでパネルメーカはプラスチックを採用していた。
プラスチックは,光透過率という点では問題はないが,導光板としては,剛性不足がパネルメーカによるテレビの薄型化の制約になっていた。それを補うために,パネルメーカは追加の構造部品を組み込み,その分の重量およびスペースが従来のエッジライト方式液晶テレビには加わっていた。また,プラスチックは湿気に曝されると膨張するため,メーカはテレビの額縁部分(ベゼル)の幅を広くとる必要もあった。
Iris Glassは,プラスチックより36倍堅く,パネルメーカは10㎜厚未満のテレビを設計することが可能となるという。熱膨張率もプラスチックより90%低いため,額縁部分の幅を狭め,より洗練されたデザインを実現できるとしている。
同社は,液晶ディスプレイの開発,製造,販売を行なう堺ディスプレイプロダクト(SDP)と協力し,Iris Glass を採用したSDP製70インチ超薄型液晶モジュールのプロトタイプをCESで発表する。SDPのディスプレイは4K解像度を備えているという。