東芝,高精細2D/裸眼3D切替表示向け低クロストーク液晶レンズ技術を開発

東芝は,専用メガネの要らない裸眼3Dディスプレイ向けに,15型4K液晶パネルに対応した,新たな低クロストーク高精細液晶GRINレンズ技術を開発した(ニュースリリース)。これにより,明るいHD精細度の3D表示と4K精細度の2D表示の切り替えが可能なディスプレイを,小型で可搬性高く実現することが可能になるという。この技術は,1月6日からラスベガスで開催される「2015 International CES」で参考展示される。

同社では,これまでB2C市場に向けて,大型グラスレス3Dテレビやグラスレス3DノートPCを発売してきた。また,これらの製品化で確立した要素技術をB2B市場向けの製品に展開し,世界初となる「医療用裸眼3Dディスプレイ」の発売を開始している。

B2B分野では,高い3D性能が重視されることから,同社はプラスチックレンズを用いた3D固定表示を採用してきた。しかし,3D専用ディスプレイでは,別途2Dディスプレイが必要になり,特に小型で持ち運びながら使用する場合,高画質な3D表示だけでなく高精細な2D表示と切り替える機能が求められていた。

そこで,2D表示時の画質劣化が無く,また3D表示時の輝度低下のない液晶GRINレンズ方式をベースに,新たな低クロストーク高精細液晶GRINレンズ技術を開発した。この技術では,液晶GRINレンズの液晶分子の配向方向とレンズ方向の角度を,液晶パネルの出射偏光方向に対して最適化することで,従来液晶レンズ境界付近に発生していた液晶分子の異常配向を低減し,従来の3D表示では5%以上あったクロストークを2%まで改善したという。この技術を15型4K液晶パネルと組み合わせることで,3D精細度が従来比5倍以上に向上し,高画質な3D表示を実現できるようになった。

同社は今後,さらに画面内の任意の位置およびサイズで3D表示と2D表示を切り替えることができる部分2D/3D切り替え技術と融合させ,医療や産業用など高精細な裸眼3D表示が求められるB2B用途に向けた早期の実用化を目指す。