ソニー,有機ELを用いた片眼用アイウェアモジュールを開発

ソニーは,様々なデザインのアイウェアに装着することでウェアラブル端末を実現する,アイウェア装着型の片眼用ディスプレイモジュールを開発した(ニュースリリース)。

このモジュールは,超小型高精細カラー有機ELディスプレイと,その高画質を活かす超小型光学ユニットに加え,スマートフォン相当の演算処理能力を持ちながら高密度実装技術により小型化した制御基板を搭載し,アイウェアに装着できる小型・軽量化を実現した。

モジュールは,同社独自の有機EL技術と半導体シリコン駆動技術により実現した,世界最小クラスの0.23型超小型高精細カラー有機ELディスプレイを搭載している。このディスプレイは0.23型という超小型でありながら640x400pixelの解像度を有する。また,10000:1以上の高コントラストにより黒をより深く表現でき,sRGB色域を100%カバーする映像を表示する。

従来パネルでは画素構造において,RGBストライプ配列内に色純度を確保するための遮光部を配置していた。新開発パネルでは,配列を最適化することで遮光部を最小化し,画素サイズを小さくすると同時に開口率を向上している。これにより屋外での使用に必要とされる輝度の維持と,パネル外形の超小型化(10.2mm×7.9mm)との両立を実現した。

小型・軽量を追求するため本有機ELディスプレイ専用に開発された超小型専用光学ユニットを搭載。晴天下でも暗い屋内でも照度環境によらず,有機ELディスプレイによる高画質の映像を投影できる。投影された映像は視野角に換算すると対角13度になる。これは2メートル先の16インチディスプレイによる映像と同等の視野であり,実世界の視界の妨げとならずに必要な情報を確認できる,サブウィンドウとしての活用に適した画面サイズ。

容易にアイウェアと付け外しができるため,TPOに合わせて使用時にのみ従来のアイウェアに装着することで,アイウェア型のウェアラブル端末をより身近に,手軽に生活シーンに取り入れることができる。

同社は,様々な活用法に向けてアイウェア型ウェアラブル端末ソリューションを提供するため,アプリケーションを開発するためのソフトウェア開発キット(SDK)を用意する。さらにソフトウェア開発キットとともに機器連携のための通信仕様を公開し,無線接続した様々な機器とアイウェア型ウェアラブル端末とを組み合わせたより便利な使い方を可能にする。

同社は,2015年内にこのモジュールの量産開始を目指している。スポーツやエンターテイメントなど特定の用途のアイウェアを販売するメーカや,自社製品とウェアラブルデバイスとの連携を検討する電機メーカ,ウェアラブルデバイスを用いた業務用途のソリューションを提供する企業など,幅広くこのモジュールを販売することで,今後広がりが期待されるウェアラブルデバイスの市場に新たな活用シーンを提案する。