農業・食品産業技術総合研究所(農研機構),NECソリューションイノベータ,インプランタイノベーションズ,奈良先端科学技術大学院大学が産学官連携の共同研究により開発した「光る花」の論文が,Plant Biotechnology誌電子版(J-STAGE)上にて早期公開された(ニュースリリース)。
「光る花」は,遺伝子組換え技術を用いて海洋プランクトン由来の蛍光タンパク質をトレニアに導入して開発された。蛍光タンパク質を活性化するための光の波長や観察に用いるフィルタの違いによって見え方が変わること等が特長となっている。
この「光る花」の観賞性を高めるために,照射する光の波長やフィルタの検討を行なった。また,長く観賞性を保つ観点から,ドライフラワー等の鑑賞方法についても検討を行なった。その結果,
1.蛍光タンパク質の発現量を上昇させるために転写終結因子を最新の配列に置換し,蛍光タンパク質遺伝子の発現に係わる遺伝子領域全体を3重連結することにより,これまでにないほど強い蛍光を示す「光る花」が開発された。
2.蛍光タンパク質を活性化するための光の波長については,植物由来の自家蛍光物質を活性化しない青色光(470nm付近)が適している。また,観察用のフィルタの選択により観賞性が異なる。
3.ドライフラワー等でも光り続ける。
「光る花」は、国立科学博物館で開催されている特別展「ヒカリ展 光のふしぎ,未知の輝きに迫る!」にて,世界初公開された。開催期間(10月28日~2015年2月22日)中,展示されている。今回の展示方法に論文の知見が活用されているという。
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