船井電機ら,医療向けLED光源方式光音響イメージング技術を開発

船井電機と医療用画像機器開発のエクストリリオンは,医療機器事業について提携を行ない,歯科用CT診断装置と光音響イメージング・システムに取り組み,世界初のLED光源方式光音響イメージング技術の開発に成功したと発表した(ニュースリリース)。

中核になる要素技術である「光音響効果を用いた世界初のLED励起方式光音響イメージング・システム」とは,光エネルギーを吸収した物質が断熱膨張により微弱な音響波(超音波)を生じさせる効果。この効果を利用したイメージング法を光音響イメージング法と呼ぶ。

従来の超音波画像が「形態イメージング」であるのに対し,光音響イメージングは特定物質の有無や濃度の違いを捉えることができる,「機能イメージング」(Functional Imaging)と呼ばれる。例えば,生物の血液中に含まれるヘモグロビンは近赤外光を吸収するが,このとき光音響効果により超音波を発生する。

この超音波を画像化することで,ヘモグロビンを含む組織の位置や分布を知ることができる。放射線を使わない非侵襲なイメージング方法で,医療分野をはじめとする様々な領域で研究が進められている。

これまでの光音響イメージングではもっぱら固体レーザ光源が使用されており,システム全体が大きく消費電力も多く且つ複雑なため,装置の小型化が進まず価格も高額だった。船井電機はこの課題を解決すべく,世界で初めて超音波プローブに組み込み可能な超小型高輝度パルスLED 光源の開発の成功した。

また,エクストリリオンは,歯科用X線CT技術開発で培った高速信号処理,画像処理技術を活用することにより,固体レーザ光源では不可能だった超高速な光音響イメージの生成を可能にした。

両社は今回開発したLED光源方式光音響イメージング・システムにより,光音響イメージング技術の医療分野への展開に弾みがつくものと期待している。今後,医療分野での実用化を目指して,複数の医療機器メーカや医療現場とも連携して用途開発と製品開発を進めていきたいとしている。

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