三井化学とテンソル・コンサルティング(テンソル)は,ビッグデータの分析技術を活用し,メガソーラ発電所における太陽光パネルの劣化等による発電量低下を,従来手法より80倍以上の性能で検出する発電量データ診断技術を共同開発した(ニュースリリース)。
メガソーラ発電所では,(1)太陽光パネルが約2,000~3,000枚繋がったパワーコンディショナで,発電量をモニタリングしていること (2)発電量が,気象状況,周辺環境,太陽光パネルの故障など様々な要因で変化すること などの理由により,太陽光パネルに起因した発電量の低下の精度良い検出は難しく,現状,日照量に基づいて算出した期待発電量と実際の発電量を比較する手法にとどまっている。
今回,三井化学がもつ「太陽光パネルの劣化・故障に関するデータおよび知見の蓄積」と,テンソルがもつ「高度なデータマイニング技術」を組み合わせ,三井化学の太陽光発電実証設備を活用して,太陽光パネルの劣化等による発電量低下を精度良く検出する発電量データ診断技術を共同開発した。
これは,パワーコンディショナーごとに計測される一般的な発電量モニタリングデータに対して,日照量だけでなく,システムの構成,パネルの汚れや気象状況などの様々な影響をすべて自動的に取り込んで期待発電量を算出することにより,発電量を診断するもの。
即ち,日々蓄積される発電量というビッグデータを用いて,データマイニング技術を駆使して構築した統計数理モデルによって期待発電量を算出することにより,データの中に潜むかすかな出力の異常を検出する。
その結果,従来手法と比べ,80倍以上の診断性能を実現したという。 太陽光パネルのメーカやその他特定の条件を前提としないため,国内に限らず世界のメガソーラ発電所で発電量データ診断サービスを提供することができるとしている。
今後,三井化学が現在推進している「太陽光発電に関する診断・コンサルティング事業」にて,2015年度中に実用化することを目指し,両社は更なる共同開発を進めていくとしている。