米コヒレント社は,多光子励起顕微鏡の蛍光イメージング向けとして11月17日,波長チューニング領域が最も広く,高出力かつ短パルス幅の2波長同時出力を実現するフェムト秒レーザ「Chameleon Discovery」をリリースした(ニュースリリース)。
2つの出力は共にハイピークパワーで,第1出力は,短パルス100fs,最大出力1.4W,680~1300nmの波長域を連続掃引する。一方,第2出力は波長1040nmにおいて出力1.5Wを発振する。また,内蔵の群速度分散補正機能により,サンプル上で,最大のピークパワーを維持できる。
第1出力の広帯域チューニング領域,高出力,短パルスは,eGFP,YFP,RFPなど,一般的な蛍光の励起に適している。第2出力の波長1040nm,高出力,短パルス(160fs)およびそのビームパラメータにより,マルチプローブの2波長同時励起やオプトジェネティクス応用のオプシンの光活性化などといった技術にも対応する。
この応用は,既に確立されたC1V1とGCaMPの組み合わせに加え,ChR2とRCaMPの組み合わせのような新しいオプトジェネティクスの手法の開発にも適している。なお,2波長同時発振を実現するChameleon DiscoveryはCARSやSRSのような手法にも理想的だという。
また,Chameleon Discoveryは同社が推進する「理科学レーザの産業革命」の一例であり,性能と信頼性および長寿命を兼ね備えているため,研究の生産性を向上するとしている。「理科学レーザの産業革命」とは,産業レーザの製品開発で長年培ったコンセプトやテストを理科学レーザの製品化に採用するプログラムであり,例えば,Chameleon Discoveryに使用している励起光源の寿命テストは延べ75年にも及ぶという。