九州大学を中心に九州地域の他の大学,企業等が協力して開発をしてきた超小型人工衛星QSAT-EOS(愛称「つくし」)は,11月6日にロシア連邦Yasny基地より打ち上げられ,ロケットから正常に分離し,予定の軌道に投入された(ニュースリリース)。
QSAT-EOSは,九州大学が開発してきた科学観測衛星の技術を元に,過去9年に亘る佐賀大学,鹿児島大学,九州工業大学,QPS研究所ならびに九州内企業との協力関係をベースにして地球観測ミッションの実現を図ったもの。サイズは縦横高さがいずれも約50cmで質量は約50kg。
今回の打ち上げでは,主ミッションである災害監視の地球観測ミッションと超小型人工衛星の汎用バス開発に加えて,新規開発センサによる微小デブリ観測,三次元地磁気観測による高精度宇宙天気予報,データ通信用電波自体を用いた局地的な集中豪雨や積乱雲の成長などのリアルタイム観測という3つのサブミッションを行なう。
また,3軸姿勢制御とともに,地球観測用高速画像転送やSバンドによる衛星へのコマンド・テレメトリ通信機能は中・大型衛星に匹敵する高機能性を有しているのも大きな特長となっている。
九州大学は,今回のQSAT-EOS打ち上げを機に,そこで得られた衛星画像を使って災害監視や農水産資源管理のネットワークを構築し,社会貢献を行なっていくとしている。
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