矢野経済研究所では,ウェアラブルデバイスの世界市場に関する調査を実施した(ニュースリリース)。ここでのウェアラブルデバイスとは身体に装着して使用するIT機器の総称で,スマートフォンと連携させて使用する端末。主なウェアラブルデバイスとしてメガネ型デバイス「スマートグラス」,時計型デバイス「スマートウォッチ」,バイタルデータの収集に特化した「スマートバンド」について調査した。
世界市場
それによると,2013年のウェアラブルデバイスの世界(グローバル)市場規模は,メーカ出荷台数ベースで671万5,000台。分野別ではスマートバンド439万台,スマートウォッチ229万5,000台であり,スマートバンドが世界市場を牽引している。
2014年の市場規模は全体で232万8,000台,このうちスマートウォッチ512万台,スマートバンド165万8,000台,スマートグラス150万台を見込む。
2015年以降,特にスマートウォッチ市場が急拡大するものとみている。ただし,「Apple Watch」の市場投入と評価が市場を大きく左右するものと考えており,ユーザが期待する以上の機能やサービスが搭載されていれば,想定以上の普及につながる可能性もある。
スマートバンドについては,製品・サービスの認知度が向上している。また,スマートバンドの製品価格が200ドル以内に収まる製品が多く,かつ健康志向の高まりにより,体温,心拍数,血圧測定などの「ヘルスケア端末」として,世界的なビジネス拡大が期待される。
スマートグラスは,「Google Glass」の評価が市場を大きく左右する。ただし,現状では日常生活に応じたサービスとは考えにくく,急速な市場拡大には,時間を要するものとみている。
2015年~2017年の3年間は様々な製品が登場し,試行錯誤と淘汰を重ねながら市場が形成されていく。Apple,Googleなどの大手企業が,ウェアラブルデバイスへの取り組みを強化する一方で,PCメーカ,携帯電話メーカ,スポーツ用品メーカ,ベンチャーなど,様々な企業の参入が想定される。当該市場は立ち上がったばかりで,端末,サービス,コンテンツなどのアプリケーションの登場が期待される。
2017年の市場規模は全体で2億2,390万台,分野別ではスマートウォッチ1億3,690万台,スマートバンド7,000万台,スマートグラス1,400万台を予測する。
国内市場
一方,2013年度のウェアラブルデバイスの国内市場規模は,メーカ出荷台数ベースで53万3,000台,分野別ではスマートバンド33万2,000台,スマートウォッチ20万台であった。2014年度は全体で275万台,このうちスマートウォッチ154万台,スマートバンド116万台,スマートグラス5万台を見込む。
2017年度には,全体で1,310万台,分野別ではスマートウォッチ720万台,スマートバンド500万台,スマートグラス90万台を予測する。
国内市場においては,ウェアラブルデバイスのへの認知は高まりつつあるものの,本格的な普及には至っていないようだとしている。
スマートウォッチについてはスマートフォンメーカを中心に製品が出始めているものの,販売ルートが限定され,消費者の反応を伺っている段階にある。ただし,世界市場と同様「Apple Watch」の需要により,急拡大すると予想する。
一方,スマートバンドは健康志向の高まりにより多くの企業が既に市場参入している。スマートグラスは参入企業が少なく,いまだ黎明期にあるとしている。
当面は通信事業者が中心となって,端末,サービスを展開し,認知が広まることで,国内ウェアラブル市場は拡大するものとした。
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