東北大学の惑星プラズマ・大気研究センターは,福島県飯舘村にある望遠鏡をハワイ・ハレアカラ山頂へ移設した(ニュースリリース)。
同研究センターは1999年より福島県飯舘村において,国内唯一の惑星大気観測専用60cm望遠鏡を用いた観測・教育活動を実施してきたが,2011年3月の震災に伴う原子力発電所事故により,空間放射線量が毎時6.5マイクロシーベルトに達し,長時間滞在を要する望遠鏡観測が困難となった。
このため代替地を検討し,ハワイ・ハレアカラ山頂の観測条件が最適と判断し,これをハワイ大学に打診したところ,震災復興の助けにもなれば,と快諾を得た。
以来,同研究センターは飯舘村にある望遠鏡をハワイ・ハレアカラ山頂へ移設するプロジェクトを開始した。山頂が国立公園内にあるため,工事許可を得るために予想外の困難に直面する等,紆余曲折があったが,ハワイ大学や現地の業者とも協力して移設プロジェクトを推進してきた。
本年9月には,ハレアカラ山頂において新たなドーム建物と移設した望遠鏡による「惑星大気観測専用望遠鏡T60観測施設」が完成し,ファーストライトデータを取得することができた。
また,これを機会に,東北大学とハワイ大学天文学研究施設間で科学協力合意書を締結。9月8日に,ハワイ・ハレアカラ山頂においてT60観測施設の開所式を行ない,加えて,同日に科学協力合意書の署名式をハワイ大学・天文学研究施設・マウイ先端技術研究センターにて行なった。
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