東レ・ダウコーニング,グレード別150mm SiCウエハを発売

東レ・ダウコーニングは,150mm(6インチ)のSiC(炭化ケイ素)ウエハ製品を3つのプライム・グレードに分けて発売した(ニュースリリース)。

本年5月に発表した100mm(4インチ)のSiCウエハ製品同様に「プライム・スタンダード」,「プライム・セレクト」,「プライム・ウルトラ」の3つのグレードで販売する。このグレード分けはマイクロパイプ密度(MPD)や貫通らせん転位(TSD),基底面転位(BPD)のような,デバイス性能に影響を与える致命的なキラー欠陥の規格を明確化したもの。

SiCパワー半導体は,ここ数年,開発・基礎研究ステージから,技術を確立してきている。SiCの結晶品質やウエハサイズなどにより生産性が重視されていることから,3つのグレード分けを適用したという。

SiCウエハメーカの多くは,150mm SiCウエハのMPDについて保証しているが,TSDやBPDといった他のキラー欠陥についても厳しい規格を明示するのは同社が初めてだという。こうした欠陥はデバイスの歩留まりを悪化させるだけでなく,定格電流が大きい次世代の大面積パワーエレクトロニクス・デバイス製造において採算性の悪化につながる。今回発売するSiCウエハは,量産および試作工程でも優れた機械特性を持つとしている。

3つの150mm プライム・グレードSiCウエハ製品は以下の通り。

● プライム・スタンダード 1cm-2のMPDを保証しているため,定格電流が低めのショットキー・ダイオードや接合障壁ショットキー・ダイオードのような,比較的単純なSiCパワーエレクトロニクス・コンポーネントを設計する際に適している。

● プライム・セレクト MPD(1cm-2),TSD(300cm-2)と規格をより厳密にしているため,ピンダイオードやスイッチのような,要件が厳しいSiCデバイスに適している。

● プライム・ウルトラ 最も高い結晶品質が求められるハイパワー・デバイスの設計を可能にする。このグレードのSiC基板はMPD(1cm-2),SD (200cm-2),BPD(3,000cm-2)といずれも極めて低く,ウエハの抵抗分布も密になっているため,最も先進的なSiCパワーエレクトロニクス・デバイスの設計を可能にする。例えば,金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)やジャンクション電界効果トランジスタ(JFET),IGBTやバイポーラ接合トランジスタ(BJT),ピンダイオードといった次世代スイッチング・デバイスなど。さらに,このグレードは基板の品質が極めて優れているため,3.3kVを超える高圧や定格電流が大きいデバイスの設計でもそのメリットを発揮する。