立命館大と九重電気,従来の3倍以上の研磨能率を持つ研磨パッドを開発


立命館大学理工学部・教授の谷泰弘氏の研究グループは九重電気と共同で,ガラス基板やサファイアなどの半導体基板の研磨副資材として使用されている研磨パッドの高能率化技術を開発した(ニュースリリース)。

研磨パッドの世界市場は2,000億円(国内50億円)と言われ,スマートフォンのカバーガラスやLED用のサファイア基板などの研磨に使われている。しかし,日本製の研磨パッドは研磨能率が低いとの理由から世界シェアが約10%と低く,なかなか追いつけない状態が続いているのが現状。これが日本の研磨加工産業の進歩を妨げる要因となってきている。

こうした状況の中,今回新たに現状のエポキシ樹脂研磨パッドやウレタン樹脂研磨パッドの問題点を解決するアミド系硬化剤を適用したエポキシ樹脂研磨パッドを開発。エポキシ樹脂研磨パッドに親水性の高いアミド系硬化剤を適用することにより,研磨パッドの親水性や砥粒の滞留性が高まり,従来のウレタン樹脂研磨パッドに比べ,仕上げ面粗さが同等でありながら研磨能率を3倍以上に向上させることを実現した。

また,スラリー(研磨液)中の砥粒濃度が低くても高い研磨能率を実現し,研磨時間の短縮や加工コストの低減を図った。さらに,現在市販されているエポキシパッドより温度特性が改善されているという。この研究はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業の一環として取り組んでいるものだが,今年度中にも九重電気が製品化し,販売を開始する予定としている。

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