2014年第2四半期の大手中国メーカからのPVモジュール出荷量が,5.2GWだった前期に比べ26%増となった。第2四半期のPVモジュール総出荷量の約4分の3に当たる71%が上位20社からの出荷だったことが,NPD Solarbuzzの最新レポート「Module Tracker Quarterly」で明らかになった(ニュースリリース)。
NPD SolarbuzzのシニアアナリストRay Lian氏は,「中国メーカーは世界のPVモジュールメーカ上位20社グループを独占する勢いで,これら上位メーカからのモジュール出荷量は過去最高レベルに到達している。貿易紛争の影響で逆風が吹くなかでのこれほどの成長は,中国メーカが各地域市場に応じて実施している戦略が成功していることを示している」と分析している。
20014年第1四半期に非常に好調だった大手日本メーカだが,2014年4月1日の電力買取価格引き下げを機に日本市場が冷え込んだため,2014年第2四半期はモジュール出荷量が減少した。シャープは2014年第1四半期が730MW以上でモジュール出荷量世界一のメーカとなったが,2014年第2四半期には50%以上も出荷が減る結果となった。
大手中国メーカのTrina Solar,Canadian Solar,Jinko Solar,JA Solarはいずれも2014年第2四半期に四半期出荷量過去最高を記録した模様だ。これら4社にYingli Green EnergyとRenesolaを加えた中国メーカ6社が,2014年第2四半期の世界のモジュール出荷量トップ6を占める結果となった。
貿易紛争のため中国製品に是正措置が適用されるようになったことから,メーカ各社が海外からの供給を決定する動きが見られている。その動きが最も活発なのは大手中国メーカのRenesolaで,同社は現在,モジュール生産のおよそ半分をパートナーであるOEMメーカに外部委託している。
Ray Lianは「Renesolaは外部委託戦略の実行によってこの一年で欧州、オーストラリア、インドの各市場をリードする地位を確立した。同じく中国メーカーのCanadian Solarはカナダのモジュール生産拠点を拡張し自社の川下プロジェクトや日本市場などに向けて出荷を増やしており、同社のブランド認知度を上げることに成功している」と述べている。
米商務省による貿易紛争の仮決定発表を前に、大手中国メーカーからの米国市場向けモジュール出荷はQ2’14、1GWを上回るレベルに達した。Q2’14までの移動12ヵ月間で中国メーカーのTrina Solarが米国向けに出荷したモジュールの量はSunPowerを上回っており、大手米国メーカーのFirst Solarとほぼ同レベルとなっている。
中国メーカーにとって、中国の国内PV市場の重要度も増してきている。同市場のここ一年間のモジュールメーカー上位3社はYingli Green Energy、Trina Solar、Jinko Solarという顔ぶれで、これをHareon Solar、Suntech、JA Solarが追う展開となっている。
Ray Lian氏は「大手中国メーカーは引き続きモジュール出荷量を増やしている。中国市場は2014年下半期に10GWを超える規模になる見通しで,国内と海外それぞれ異なる市場に対する供給戦略が実施されることになるだろう」と結んでいる。
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