JAXA,観測ロケットで気液二相状態にある窒素の様子を観察

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月4日,「ロケット慣性飛行中の二相流挙動及び熱伝達特性の観測」を目的とした観測ロケット,S-310-43号機を内之浦宇宙空間観測所から打上げ,実験は成功した(ニュースリリース)。
ロケットの飛翔並びに搭載した実験装置の動作は正常に行なわれ,打上335秒後に内之浦南東海上に落下した。

ロケット飛翔結果
ロケット機種・号機 打上時刻 (日本標準時) 発射上下角 スピン制御開始 最高到達高度 着水時刻
S-310-43 23時00分00秒 79度 打上65秒後 117km (打上169秒後) 打上335秒後

今回の実験では,観測ロケットの弾道飛行を利用して液体ロケットが宇宙空間を慣性飛行している環境を模擬し,極低温推進システムの各要素を模した供試体内に極低温流体(液体窒素)を流動させ,供試体内を流れる気液二相状態にある液体窒素の沸騰・流動状況を観察するとともに,各部の温度・圧力・ボイド率を測定した。

ロケット打上げ後100秒に供試体への液体窒素の流動を開始し,約150秒間にわたり各部の温度・圧力・ボイド率データ及び供試体内における二相流挙動の画像データ(別紙)を取得した。

今後,取得されたデータを用いて詳細な解析を実施し,推進システムの熱流動解析モデルの精度向上を図る。なお,光学カメラによるロケット追跡が,発射後33秒まで行なわれた。  当日の天候は曇り,南西の風3m/秒,気温26℃だった。

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