岡山大学の研究グループは,マウス喘息モデルを用いて,ラベンダー精油の喘息症状軽減作用を世界で初めて明らかにした(ニュースリリース)。
精油とは,植物から抽出される天然の揮発性有機化合物のこと。抽出に用いる植物の違いによって,精油には様々な種類が存在する。精油は欧米では植物療法の一つとして長い間,伝統的に用いられてきた。しかし,様々な症状や疾患に対する精油の作用についての科学的な研究は着手されたばかりで,まだまだ未知の部分が多く残っている。
研究グループは,マウス喘息モデルにラベンダー精油を嗅がせることで,喘息マウスで認められる気道の狭窄,粘液分泌の亢進,アレルギー反応の主役である好酸球の気道や肺胞への浸潤を抑制することを発見し,ラベンダー精油がアレルギー症状を抑制する作用を持つことを科学的に証明することができた。
今回,マウス喘息モデルにおいてラベンダー精油の抗アレルギー作用が明らかになった。人での作用を知るには更なる研究が必要だが,ラベンダー精油のアレルギー性疾患への応用の可能性が広がった。
精油は,数十種類の揮発性有機化合物集合体で,植物の種類によって構成成分が異なる。今回の研究によりラベンダー精油に抗アレルギー作用が認められたため,効果を発揮している成分を特定できれば,他にも抗アレルギー作用を持つ可能性のある精油を迅速・効果的に選別することが期待できるとしている。
研究グループは,今回の研究結果はマウス喘息モデルを用いて明らかにしたラベンダー精油の作用の一面でしかなく,一般に入手できる精油は多くの揮発性有機化合物を含むことから,人体に対しての使用は健康面において注意が必要だとしている。
関連記事「理研、アレルゲンで誘導される喘息の新メカニズムを解明」「理研、ステロイドが効かない重症ぜんそくのメカニズムをマウスで解明」「北里大ら,リンパ球の細胞接着の制御機構を解明」「北大ら,アレルギー応答を調節する新規分子を同定」