岡山大学とメニコンが共同開発したハイドロゲル,手術用止血材としても有効なことを確認 

岡山大学と岡山済生会総合病院らの研究グループは,自己集合性ペプチドをスキャフォールド用途のものと比べて高濃度で配合するなどした改良ゲルが,手術用止血材として有効であることを世界で初めて確認した(ニュースリリース)。この自己集合性ペプチドは,岡山大学とメニコンが2010年に特許を取得したもの。

この自己集合性ペプチドは水に溶かすとペプチド分子同士が自己集合し,ネットワーク構造を構築することで,中性領域で安定性の高いゲルを形成する。現在,この自己集合性ペプチドからなるゲルはスキャフォールド(細胞培養の足場)として使用されている。
 
自己集合性ペプチドゲルはペプチドを原料とした医療用新素材だが,従来のものは酸性であり様々な問題を抱えていた。そこで今回,アミノ酸の配列を一から見直して中性で安定なゲルを形成可能なペプチド(SPG-178)を開発し,その改良ゲルが手術用止血材として有効であり,かつ,従来の自己集合性ペプチドゲルと比較しても止血効果が高いことを確認した。

自己集合性ペプチドゲルは従来の手術用止血材と比較し,生物由来ではない,無色透明である等の利点がある。従来の手術用止血材とは異なったメカニズムで止血させるため,血液が固まりにくく止血が困難な患者にも使用できると見込まれる。

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