富士キメラ総研は,次世代ディスプレイシステムから映像コンテンツ/インフラ・配信市場を対象としたBtoB向け映像ビジネス,また最新の映像技術動向について調査し,その結果を「次世代映像ビジネス総覧 2014」にまとめた(プレスリリース)。この報告書では,デバイス3品目,情報/システム17品目,映像ソリューション15品目を対象とし,市場の現状を分析し今後を予測した。
映像表示機器,映像入力/撮像機器,映像記録/再生/編集機器・システムなどの映像機器/システムの2013年の市場は,3,151億円となった。映像表示機器は,モニタ/デジタルTVのうち,30インチ未満の中小型モニタが,医療用,放送用,監視用に加え,車両モニタやその他産業機器/システムへの組み込み用などで堅調だとしている。
30インチ以上の大型は,デジタルサイネージ向けを中心に,会議(一般企業)/講義(教育機関)向けなどで需要が増加している。また,画面サイズの大型化/高精細化、通信速度の向上などを背景にスマートデバイスの業務利用が進んでおり,特にタブレット端末は営業支援ツールとして普及しているほか,POSなど専用端末の代替品としても需要が拡大している。ウェアラブル端末は,現状は医療分野が中心であるが,今後は製造,物流,公共分野での導入が期待されるという。
映像入力/撮像機器は,金融機関や小売店舗,オフィスビルなどの需要を取り込んだ監視カメラと,ADAS(先進運転支援システム)実装の自動車の増加で好調な車載カメラが市場をけん引している。放送用カメラは需要が一巡しているものの、今後はリプレースや4K放送開始時の新規需要による拡大が期待される。医療カメラは高性能化に伴い金額ベースで堅調。
映像記録/再生/編集機器・システムは,監視カメラの市場と連動し監視レコーダが好調で市場をけん引している。放送用メディアは,磁気テープから光ディスクやメモリーカードへの置き換えがキー局を中心に進んでいるのに加え,ポストプロダクションなどの映像制作事業者においてもリプレースが進むと考えられる。
放送業務用ディスクレコーダ/VTRは,放送局における設備投資の抑制から,リプレース周期が長期化しているものの,4Kおよび8Kでの放送実用化に伴うシステムリプレースの活況により,2016年頃から再び市場が拡大するとみられる。映像アーカイブシステムは過去に放送された映像コンテンツの経年劣化を防ぐ手段として導入が進み,放送局以外の図書館や教育機関などでの導入も想定され,成長が期待されるとした。
映像機器/システムの市場は,リアプロジェクタや業務用ビデオプレーヤ,編集システムなど一部の品目で縮小するとみられるものの,核となる映像表示機器を中心に拡大するとして,2020年には2013年比46.4%増の4,613億円を予測する。