東工大ら,中性子ハローがマグネシウム同位体にも出現することを発見

東京工業大学と理化学研究所の研究グループは,中性子が非常に多い原子核に現れる,1個または2個の中性子が芯原子核から外にしみだして薄く雲のように大きく拡がった状態である「中性子ハロー」と呼ばれる特異構造が,中性子数が過剰なマグネシウム同位体「マグネシウム37」(37Mg)にも現れていることを発見した(ニュースリリース)。

今回,37Mgは36Mgというコンパクトなコアのまわりに,薄い密度で拡がる外縁部「中性子ハロー」をまとっていることと,強く変形していることがわかった。中性子ハローは,質量数が20未満で,中性子数が陽子数に比べて極めて多い原子核に現れることはよく知られていたが,質量数が40に近い原子核で発見されたのは初めてで,これまでで最も重い,中性子ハロー構造を有する原子核ということになった。

今回,強力な不安定核ビームを供給する拠点研究施設である理研のRIBFで行なった実験では,4月に発表した31Neの研究で用いたのと同様の手法(分解反応)を37Mgに適用し,そのハロー構造を明らかにした。質量数40付近のハロー構造が見いだされたことで,さらに重い原子核でのハロー構造出現の期待も高まった。また,31Neと同様に37Mgでも魔法数の破れや強い変形状態,という特異構造を持つことも同時に明らかになった。

今回の結果は,「中性子ハロー」がより重く,より中性子数が多い原子核にも普遍的に現れることを示すもの。宇宙を形作る元素のうち,鉄より重い元素の合成では,中性子数が陽子数よりも多い原子核が関与しているとされる。中性子ハローをもつ原子核がより多く存在すれば,こうした元素合成過程にも影響する可能性がある。