不二サッシグループの不二ライトメタルは，産業技術総合研究所（産総研）と共同で，肉厚誤差が8%以下でメートル級の長尺細管の作製が可能となる，マグネシウム合金の高精度長尺細管の押出し技術を開発した（ニュースリリース）。

マグネシウムは優れた軽量化効果をもたらし，また，当該元素は人体に多く存在するため細胞毒性が低く，生分解性を有しており，生体材料，特に生体吸収性ステントの有力基材として期待されている。

しかし，マグネシウムはその結晶構造に起因する塑性加工性の低さから，精密な長尺細管を作製することが困難だった。一般的に長尺中空管の成形加工法としてはポートホールダイスを用いた押出し加工が有効とされているが，薄肉化が難しいうえ，組織が不均一になるという問題を有している。

さらに，中実押出し材から切削加工によって細管を削り出す方法や，大口径のパイプ材に引抜き加工を繰り返し行なうことで，細管を作製する方法が試みられていたが，前者は長尺化や表面精度が，後者は割れや膨大な工程数が問題となり，実用化には大きなハードルがあった。

開発した押出し技術は，従来のポートホールダイスを用いず，押出しダイスとマンドレルのギャップに連続的な材料流れが生じるような型構造を採用。これにより，市販合金（AZ合金，AM合金），難燃性合金（AZX合金），高強度合金（KUMADAI耐熱Mg合金），生体合金の高精度長尺細管を作製したところ，加工条件や潤滑剤の最適化を図ることによって，肉厚誤差が±4%以下でメートル級の高精度長尺マグネシウム合金細管の作製を実現。さらに内外面共に良好な表面精度を有していることや，不純物などの巻き込みもなく均一な組織が得られたことも確認できた。