名工大ら,マイクロ波の非熱的効果によるバイオプラスチックの短時間合成に成功

名古屋工業大学,核融合科学研究所,中部電力は共同で,バイオプラスチックの一種であるポリ乳酸を,マイクロ波の非熱的効果を使って素早く製造する技術を開発した(ニュースリリース)。

ポリ乳酸とは,サトウキビ,トウモロコシ,生ごみのでんぷんを抽出し発酵させた乳酸を縮合(重縮合)させて得られる自然にやさしいプラスチックで,石油由来でないプラスチックとして普及が期待されている。

今回の技術はプラスチック産業の材料製造工程の低温化・短時間化を実現し、省エネルギーへ大きく貢献する可能性がある。

名古屋工業大学,核融合科学研究所及び中部電力は,3年前に共同研究契約を締結。還流(温度一定)条件で乳酸(名古屋工業大学分担)の重縮合に,マイクロ波(核融合科学研究所分担)を用いることに成功。この過程でマイクロ波の非熱的効果を明らかにするという学術的知見も得られた。

また,シングルモード波共振器を用いて,マイクロ波を電気成分と磁気成分に分離,各成分がポリ乳酸合成に与える影響を調査し,電気成分が化学反応の促進に,より有効であることを解明した。さらに,エネルギーの効率的な利用技術に関する豊富な知見を持つ中部電力が中心となり,プラスチック産業等の生産プロセスへの実用化に向け取り組んでいる。