三菱重工業,大成建設,岡村製作所は,有機EL照明パネルを使用したオフィス向けデスクライトを共同開発し,大成建設が技術センター(横浜市戸塚区)に建設する「ZEB実証棟」へ全面導入する(プレスリリース)。照明全体のエネルギーを削減しつつ,この照明器具の実証を併せて行なう。
オフィスの消費エネルギーのうち照明は約2割を占め,政府が2020年の新築公共建築物での実現を目指しているZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)達成のためには,このエネルギーの削減も課題のひとつとなる。オフィスにおいては明るさ感を確保し,執務の快適性と低照度を両立させた室内照明環境の構築が重要となる。
従来の省エネを目指した多くの照明計画は,デスクライトを活用し天井照明の照度を抑制することでエネルギー削減を行なってきた。一方でLEDなどのコンパクトで高輝度な光源を採用した場合,執務者に対して眩しさ感や手暗がりをもたらすなど,オフィス空間としての快適性を損ねてしまう場合があった。
一方,有機EL照明パネルは,面発光における光のやわらかさと薄さの特徴を活かした演出照明を中心に利用が始まっているが,これまでにオフィスのデスクライトに必要な明るさ,演色性,寿命の条件を満たす有機EL照明パネルを用いたライトは実用化されていなかった。
今回開発した「有機EL照明パネルを使用したオフィス向けデスクライト」は,三菱重工業グループのLumiotecが製造する世界最高水準の性能を持つ有機EL照明パネルを使用し,大成建設が提供した明るさ感と省エネを両立させる新しい室内照明のコンセプトと仕様に基づき,オフィスでの実使用条件を十分に満足しスリムさを活かしたデザインとして岡村製作所により設計・製造されたもの。
有機EL照明パネルは,既に量産を開始しているインライン式量産成膜装置により製造されたもので,現時点でオフィス等での実使用に必要な明るさと寿命,演色性を兼ね備えた,世界最高水準の性能を持つとしている。
3社はこのデスクライトにより,光環境の質を確保しつつオフィス空間全体のエネルギーを最小化する室内照明環境を実現するとしており,実証では有機ELデスクライトを自然光・天井照明・間接照明と統合的にデザインし,〝省エネルギー効果″〝眩しさ感の低減″〝室内空間全体の明るさ感″について照明システム全体の実証・評価を行なう。