東大,4種の低分子化合物を用いて多能性幹細胞からの効率的な骨芽細胞作製法を開発

東京大学は,細胞の培養に組成が不明なものを用いることなく,4種類の低分子化合物(GSK3阻害剤,Hhシグナル阻害剤,Hhシグナル活性化剤,ヘリオキサンチン誘導体)のみを誘導因子として用いることにより,多能性幹細胞から中胚葉を経由して効率的に骨芽細胞を作製する方法を開発した(プレスリリース)。

これまで,多能性幹細胞から目的細胞や組織を作製するために広く用いられてきた手法には,①正確な組成が不明なもの(例-ウシ胎仔血清)を細胞の培養に使用すること,②多能性幹細胞が目的としない組織への分化を誘導しかねない胚様体を形成すること,③誘導因子に遺伝子導入や組換えタンパク質を用いること,などによる安全性やコストに関する懸念が存在する。

そのため,多能性幹細胞を用いて各種組織を作製する手法は,全て既知の成分を用い,目的としない組織への分化を抑え,さらに経済的かつ安定な低分子化合物を用いた方法が理想的だった。

今回の方法では,経済的かつ安定な低分子化合物をはじめとして既知の成分のみを用い,さらに目的としない組織への分化を抑えるため,既存の手法の問題点が解決されると考えられる。