東北大ら,ダイコンゲノムの塩基配列を決定

東北大学大学院農学研究科教授の西尾剛氏と同准教授の北柴大泰氏らは,かずさDNA研究所の協力を得て,ダイコンゲノムの塩基配列を決定した。ダイコンは,日本各地で特徴的な地方品種が成立しており,日本で最も発展した野菜と言える。

ハクサイは中国や韓国が中心となって国際協力によりゲノム解読がなされたが,今回,日本の野菜と言えるダイコンのゲノムを,日本独自で世界に先駆けて解読した。

近年,塩基配列決定の技術が飛躍的に向上し,大量の塩基配列情報が短時間に得られるようになり,多くの生物のゲノム解読が加速しているが、ダイコンのゲノムは複雑で解読が遅れていた。

比較的縁が近いハクサイとも遺伝子の並び方が大きく異なり,同じアブラナ科のモデル植物でゲノム研究が最も進んでいるシロイヌナズナの3倍のゲノムを持っていて類似の塩基配列が複数あることから,ダイコンゲノムの解読はかなり困難だったが,東北大学とかずさDNA研究所では遺伝子の高密度連鎖地図をそれぞれ作成していたことから,今回の成果が得られた。また,岩手大学,野菜茶業研究所,タキイ種苗と協力して,品種間の遺伝子変異を明らかにし,育種に有用な情報を得た。

この研究で明らかにしたゲノム塩基配列が,ダイコンの根の形や辛味成分に関わる遺伝子など,ダイコンの育種に重要な遺伝子の同定のために極めて有用な情報を提供し,ゲノム情報を利用した育種を加速すると期待される。