東北大,2型糖尿病患者に特有な複数のゲノム構造異常を発見

東北大学のグループは,2型糖尿病に高頻度に認められるゲノム構造多型を新たに2箇所発見した。さらに,以前の研究で同グループが糖尿病と関連することを報告した別の部位のゲノム構造異常をもつ糖尿病患者は,今回の2箇所の異常をも併せ持つことが多く,3箇所すべてに異常を持った場合,非常に糖尿病になりやすいことを見出した。

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研究チームは 2011 年に,日本人2型糖尿病患者と日本人健常対照者に対して,コピー数多型解析を行なうことにより,2 型糖尿病群に極めて高頻度に認められるゲノム構造異常(第 4 番染色体 4p16.3領域におけるコピー数の減少)を世界に先駆けて発見した。

今回の研究では,この独自の成果を発展させ,同じ2型糖尿病群と健常コントロール群の解析をさらに進めることにより,2型糖尿病と関連するさらに2箇所(第 16 染色体 16q24.2-3 領域と第 22 染色体 22q13.31-33 領域)のコピー数多型と考えられるゲノム構造異常を発見した。

さらに,これらの3箇所のコピー数多型は同一患者が同時に併せ持つことが多く,3箇所ともゲノム構造異常を認めた者は糖尿病群では100例中11例にも及び,健常対照者では100例中1例も存在しなかった。

このことから,研究グループが見出したゲノム上の3箇所の部位にゲノム構造異常があると,非常に糖尿病になりやすいこと,つまり,これらの部位が糖尿病発症を正確に予測する DNAマーカーとなるものと考えられる。これほど選択性が高く高頻度に認められる DNA マーカーは他に類を見ず,2型糖尿病患者の血縁者などにこれらのゲノム部位を検査することで,発症・病態・予後の予測につながる可能性がある。

2型糖尿病は,遺伝的ハイリスク者であっても,発症前からの生活習慣への介入により発症を防ぐことも可能であり,糖尿病患者数減少にもつなげることができるものと期待される。さらにこの発見は,遺伝的素因が強く存在するといわれながら決め手が無かった2型糖尿病の遺伝的要因の解明や新たな治療法開発につながるもの。

詳しくは東北大学  プレスリリースへ。