名大,サカナに逃げろ!と指令する神経細胞の分子メカニズムを解明

名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻の研究グループは,「大きな音から逃げろ!」とサカナに指令を送る神経細胞・マウスナー細胞が,その“音の開始を伝える機能”を獲得する分子メカニズムを解明した。

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これまで,マウスナー細胞は大きな音の開始にたった1回活動(単発発火)してサカナに逃避運動を駆動させることが古くから知られていたが,その特別な活動特性の発達過程や分子メカニズムは謎のままであった。

今回研究グループは,ゲノム情報や発達過程が詳細に解析されている熱帯魚ゼブラフィッシュを利用して,マウスナー細胞が特別の特性を獲得する過程を詳細に追うことに成功し,発達段階でサカナが音に反応し始める時期と一致して,マウスナー細胞が単発発火特性を獲得することを明らかにした。

その分子メカニズムを調べた結果,カリウムイオンを通す細胞膜タンパク質のKv1.1 カリウムチャネルと,このチャネルに結合して機能を調節する細胞内タンパク質のKvβ2 補助サブユニットとの組み合わせがキーであることを見出した。

単発発火する細胞は,哺乳類や鳥類の聴覚系に一般的に存在し,単発発火の異常が難聴を引き起こす可能性があることから,今回注目した分子が難聴治療の創薬標的になることが期待される。

詳しくは名古屋大学プレスリリースへ。