東北大,細胞培養シート内にCNTを使った電気の通路の作製に成功

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループは,細胞培養の足場となるハイドロゲルシートにおいて,底面に対して垂直方向にカーボンナノチューブ(CNT)を配列化させる技術を開発し,水平方向と比べて約 40 倍の導電率を実現することに成功した。

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これは,ハイドロゲル底面にある電極と上面との間に,CNT によって電気の通路ができたことが原因と考えられ,このハイドロゲルを筋細胞の電気培養に応用したところ,より効率的な筋細胞の分化・成熟が可能となった。この技術により,再生医療やバイオセンサなど幅広い用途への応用が期待できる。

研究グループは,酸化インジウムスズ(ITO)でできた板状透明電極とバンド状透明電極の間に GelMA ハイドロゲル前駆体と CNTを導入し,垂直方向に電場をかけた。するとITO 電極にそって生ずる誘電泳動力により CNTが垂直方向に配列化した。その状態のまま紫外光を照射して,ゲルを光架橋させて固定化することにより,CNT 垂直配列化ハイドロゲルシートを作製した。

作製したCNT-GelMAハイドロゲルハイブリッド材料の導電率を測定したところ,ゲルの垂直方向では水平方向と比べて約 40 倍高いことが分かった。さらに,従来のハイドロゲルシート単体や CNTの配向がランダムな CNT 含有ハイドロゲルシートと比べて機械強度も優れていることが分かった。

さらに,導電率の上昇に伴って細胞培養の効率が上がっているかを確かめるため,筋細胞の 1種である筋芽細胞(C2C12)を CNT 垂直配列化ハイドロゲルシート上で培養し電気刺激を与えたろころ,従来法に比べ多くの筋管細胞を得ることにも成功した。

詳細は東北大学プレスリリースへ。