北大と日立が共同開発した,新型陽子線がん治療システムを導入した施設が完成

北海道大学と日立製作所が,2010年に国家プロジェクト「最先端研究開発支援プログラム」の採択を受けて,共同で開発を進めてきた革新的な新型陽子線がん治療システム「陽子線治療システム PROBEAT-RT」が完成し,同システムを導入した施設が,北海道大学病院内に竣工した。北大では,同施設での治療を2014年3月19日から開始する。

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国家プロジェクト「最先端研究開発支援プログラム」に採択された「持続的発展を見据えた「分子追跡放射線治療装置」の開発」では,北大の「動体追跡照射技術」と,日立の「スポットスキャニング照射技術」を組み合わせ,肺や肝臓など,呼吸等で位置が変動する腫瘍に対しても,精度よく陽子線を照射することができ,正常部位への照射を大幅に減らすことができる治療システムの開発と,全体を小型化し,低コストで国際競争力の高い治療システムの開発を目標としている。

開発した 「陽子線治療システム PROBEAT-RT」は,陽子線がん治療の世界的な普及をめざしたコンパクトで低コストな陽子線がん治療装置。照射方式をスポットスキャニング照射方式のみに特化することを前提に,ガントリー・照射ノズル・加速器を小型化などで全体をコンパクト化しつつ,使い勝手のよい国際競争力を高めた治療システムを実現している。

従来日立が販売している「PROBEAT-III」と比較して,周長23mであった加速器は今回の装置では18mに,最大外形長11m,内径3.5mであったガントリーを最大外形長9m,内径2.5mに小型化し,システム全体の設置面積を約7割に縮小した。

北大では,今回完成した施設において,まずは「スポットスキャニング照射技術」を適用した治療を行ないながら,「動体追跡照射技術」を組み合わせた治療システムの早期実現を目指す。「動体追跡照射技術」と「スポットスキャニング照射技術」を組み合わせた治療システムについては,薬事法の製造販売承認を申請中で,2014年度上期中の承認取得および治療開始をめざしている。

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