イスラエルAcktor社の日本法人アクタージャパンは紫外・可視・赤外にわたり優れた吸収特性を持つ光吸収膜の開発に成功したと発表した。特に赤外線領域では迷光を大幅に低減するという。
赤外線デバイスはサーモグラフィカメラやサーマルカメラ,車載用イメージングシステム,リモートセンシングなど幅広い機器への搭載が進んでいるが,このうち,サーモグラフィカメラにおける迷光は視界の一部の温度勾配の原因になり温度分布に影響してくるとし,迷光の主因の特定が容易ではなく,システムの校正による迷光の影響の緩和は非常に難しいとされている。サーマルカメラでは熱コントラストイメージに悪影響を与え,対象物の検知精度を低下させる。車載イメージングシステムでは対向車両などから発生する赤外迷光が,既存のアルマイト処理などによる黒化処理では赤外線吸収特性が非常に低く,センサノイズを緩和することが難しいという。リモートセンシングでは人工衛星からによる場合,とりわけ地上でシグナルデータを正確に解析するには,センサ内部での迷光・散乱光の除去が極めて重要とされている。
さらに,測定距離が数メートルから数キロにわる長距離の場合,カメラ/センサの視界外から到達する赤外線は,筐体の内壁やレンズの縁などで乱反射し,赤外線検知部においてノイズになることが知られているが,このノイズは外部迷光と呼ばれ,赤外線デバイスの能力を低下させるといった影響を及ぼす。
逆に測定距離が近い場合では,外部迷光の多くは除去されるものの,システム迷光と呼ばれる筐体内部に起因する波長3ミクロン以上の外乱光が存在する。これらの迷光の除去方法としてはバッフルの使用や,筐体内部への赤外線吸収膜/無反射膜,レンズの縁への赤外線吸収膜/無反射膜がある。
今回同社は紫外,可視,近赤外,中赤外,遠赤外にわたり低反射特性を持つ,光吸収膜「Acktor Black」を開発。これを適切に使用することで,内部の迷光を大幅に低減することができるとしている。
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