国立環境研究所,最近の直噴ガソリン乗用車から従来の10倍以上の個数のすす粒子を確認

国立環境研究所は,最近の直噴ガソリン自動車から比較的高濃度の微粒子が排出されることを確認した。欧州メーカと国内メーカの直噴ガソリン乗用車各1台について調査した結果,粒子重量は少ないものの,粒子個数の排出量は従来のガソリン車(ポート噴射ガソリン車)の10倍以上だった。

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直噴ガソリン車は,良好な燃費性能を示す一方,従来のガソリン車(ポート噴射ガソリン車)では問題視されなかった粒子状物質の排出が確認されることとなった。日本では自動車から排出される粒子個数についての規制はないが,欧州では直噴ガソリン車に対する粒子個数の排出規制が2014年に開始される予定。

ガソリン乗用車3車種を対象とした粒子個数と粒径分布の測定,及び粒径2.5μm以下の微小粒子(PM2.5)試料の測定・分析の結果,以下のことがわかった。

(1)国産直噴ガソリン車からの粒子個数の排出係数は,ポート噴射ガソリン車の10倍以上であった。欧州産直噴ガソリン車は,国産直噴ガソリン車の約5倍とさらに排出個数が多くなっていた。

(2)粒子重量の排出係数についても,直噴ガソリン車(国産車,欧州産車)はポート噴射ガソリン車より多いが,希薄燃焼方式の直噴ガソリン乗用車に対する国内規制値よりは低い値であった。

(3)粒子の主成分は元素状炭素(いわゆるスス)であり,国産ポート噴射ガソリン車では粒子重量の約7割,国産直噴ガソリン車では約8割,欧州産直噴ガソリン車では約9割以上を元素状炭素が占めていた。

(4)国産直噴ガソリン車からの排出粒子を粒径別に分析した結果,粒子中の有機炭素(炭化水素)や元素に対して,エンジンオイルの寄与は10~30%程度であり,大半はガソリン燃料(未燃または燃焼生成物・熱分解物)起源と推定された。よって,粒子の主成分である元素状炭素に対してもガソリン燃料の寄与が大きいと推測される。

同研究所では,今回明らかになったことをもとに,最近の直噴ガソリン車について詳細な排出実態調査や環境影響評価,追加的な排気対策の必要性など,環境影響の未然防止の観点から,様々な研究や対策が早急に求められるとしている。

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