産総研、信頼性を大幅に向上させた低抵抗ソース・ドレイン形成技術を開発

産業技術総合研究所ナノエレクトロニクス研究部門シリコンナノデバイスグループ主任研究員の水林 亘氏らは、日新イオン機器と共同で、14 nm世代以降のフィンFETに適用できる、低抵抗ソース・ドレイン形成技術を開発した。

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14 nm世代以降のフィンFETでは、極薄(10 nm以下)のシリコンフィン部分に低抵抗のソース・ドレインを形成することが最大の課題となっていた。通常、低抵抗化は不純物イオン注入により行なうが、フィン部分では、注入時に結晶欠陥が生成して抵抗が大きくなってしまう。この結晶欠陥の解消が困難であるため、結果として低抵抗化が困難となっている。

今回開発した高温イオン注入技術では、イオン注入後も、シリコン層全体で結晶層が維持されていた。これらが結晶の回復に必要な種となるので、11 nmと極薄のシリコン層でも、熱処理によって結晶を回復でき、無欠陥の結晶層となった。これは、ソース・ドレインの抵抗の低減につながるため、高温イオン注入により極薄フィン部分に無欠陥で低抵抗のソース・ドレインを形成できる。

今回開発した技術は、14 nm世代以降のフィンFETにおける低抵抗ソース・ドレイン形成の課題を解決することにつながるもの。今後は、高温イオン注入を量産フィンFET製造プロセスへの適用に向け、フィンFET製造プロセスの最適化、量産用装置開発を行なうとしている。

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