群馬大学大学院保健学研究科教授の横山知行氏らと筑波大学医学医療系准教授の松坂賢氏らの研究グループは、肺線維症の発症に脂質、特に脂肪酸のバランスが重要であり、この組成が変化することで肺線維症の症状が悪化することを発見した。
肺線維症のモデルマウスや肺線維症患者の病理検体において、肺機能の維持に重要な物質(サーファクタント)の原料となる脂肪酸の生成に関与する酵素Elovl6が著しく減少していることを突き止め、この酵素を欠損させたマウスに肺線維症を引き起こす薬剤を投与すると、脂肪酸中の特定成分が顕著に増加し、肺線維症が明らかに悪化することを確認した。
体内の脂肪酸バランスは、食事内容や糖尿病などの疾患とも関連が深く、生活習慣と肺疾患発症との因果関係の解明や、酵素の発現制御などにより、肺疾患予防・治療の新しいアプローチの可能性が期待される。
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