神戸大と北大、骨をターゲットとした新たな健康増進法を開発

神戸大学医学部附属病院血液内科講師(JSTさきがけ研究者兼任)の片山義雄氏と北海道大学大学院歯学研究科口腔先端融合科学分野助教の佐藤真理氏らの共同研究グループは、骨を構成する「骨細胞」が免疫臓器や脂肪組織をコントロールすることで、全身の健康に大きな影響を与えていることを動物実験により世界に先駆けて明らかにした。

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遺伝子操作により生体内で骨細胞にダメージを与えたマウスの全身を解析した。このマウスは、免疫に重要な白血球の一部が枯渇し、脂肪が消えてみるみるやせ細っていく。種々の実験結果から、骨細胞は免疫細胞を育てるゆりかごである骨髄と胸腺の環境を整備し、全身の脂肪組織や肝臓での脂肪の貯蓄と出入りをコントロールしていることが明らかになった。

骨が弱ると全身も弱る。骨全体に張り巡らされた骨細胞が日々重力を感じて発信する刺激こそが、強い免疫と健全な脂肪の保持に大切となる。この全く新しい知見と概念は、免疫不全や脂質代謝異常といった疾患に対して、標的臓器のみならず黒幕的臓器とも言える骨をターゲットとした、より根本的な治療の開発に役立つものと思われる。さらに、骨をターゲットにした新しい予防医療と健康作りの提案によって、国民の意識改革と健康増進に大きく貢献するものと思われるとしている。

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