理研と東大、重いカルシウムで新しい「魔法数」34を発見

理化学研究所と東京大学は、重いカルシウム同位体の研究から、新しい魔法数34を発見した。原子やその原子核を構成する陽子と中性子が主役のミクロ世界では、それらを構成する基本粒子がある特定のエネルギーで決まる軌道上を、量子力学の法則に従い整然と動いている。各軌道に入る粒子数は決まっており、軌道のエネルギー分布も一様ではなく疎密がある。粒子が密な一群の軌道を全て占有すると特に安定になり、その時の粒子数は「魔法数」と呼ばれている。

131010riken1

世界最高性能の理研仁科加速器研究センターの重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」を使い、「カルシウム‐54(54Ca)」の中性子数34が魔法数かどうかを調べた。自然界には存在しない54Caを生成するため、亜鉛‐70(70Zn)を大強度で加速し、スカンジウム‐55(55Sc)などの中性子過剰な放射性同位元素(RI)をRIビームとして取り出した。

さらに、55ScのRIビームをベリリウム(Be)標的に照射することで54Caを生成し、その励起準位の測定に成功。54Caの励起準位のエネルギーは、周りの原子核に比べて大きく、また理論的に解析したところ中性子数34が魔法数であることを世界で初めて見いだした。今回、RIBFによる所期のデータの取得はわずか10時間で行なうことができ、RIBFが成果創出の高い効率性を持つことを世界に示した。

カルシウム同位体において中性子数34が魔法数であることを明らかにし、10年来の問題に決着がついた。今回の成果により、魔法数が現れる新しい規則性や、不安定原子核をも包含する原子核の成り立ちの統一的理解へ向け、大きな一歩を踏み出した。

詳しくはこちら