慶大、有機超薄膜に金属ナノクラスターの電極を形成する技術を開発

科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として、慶應義塾大学理工学部教授の中嶋 敦氏らの研究グループは、機能性有機分子で作った数㎚の超薄膜上へ、金属電極を形成する技術を開発した。

131009jst2

原子の代わりに銀のナノクラスターを用いて、有機分子の1つであるフラーレンの超薄膜上へ蒸着し評価する研究を進めた。その結果、蒸着条件の最適化によって、さまざまなサイズのナノクラスターをフラーレン薄膜表面へ安定的に固定化できることを見いだした。この時、フラーレン薄膜の秩序性が損なわれることはなかった。さらに、銀ナノクラスターを介してフラーレン層の最表面に電子および正孔を注入できることも確認できた。

この成果は、金属ナノクラスターを有機薄膜表面に安定に固定化する技術と、それを原子レベルの精度で評価する技術の統合によって実現したもの。これは有機薄膜上に、金属原子の侵入のない電極を形成する新手法を提示したばかりでなく、界面における電子・正孔の注入・分離・蓄積などを精密に制御するための方法の確立に道を開くものであり、有機機能薄膜を太陽電池や波長変換素子、センサーなどに応用展開するための基盤となる重要な技術的指針を提供するものである。

詳しくはこちら