九大ほか、岐阜と大分から巨大隕石落下の証拠を発見

九州大学,熊本大学,海洋研究開発機構の研究グループは,岐阜県坂祝町および大分県津久見市から採取された岩石試料について,白金族元素のひとつであるオスミウムの同位体分析を行なった。その結果,およそ 2 億 1500 万年前に,直径 3.3~7.8 km の巨大隕石が地球に衝突した強固な証拠を発見した。

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研究グループは,岐阜県坂祝町および大分県津久見市から発見された隕石衝突を記録した粘土岩について「オスミウム(Os)同位体」の化学分析を行なった。オスミウムは,いくつかの同位体を持つことが知られており,地球に落下する大部分の隕石が,高いオスミウム濃度と低いオスミウム同位体比(オスミウム 188 に対するオスミウム 187 の比:187Os/188Os)を持つことが知られている。

海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球内部ダイナミクス領域(IFREE)に設置されているマルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析装置(MC-ICP-MS)(注 5)を用いた分析により,隕石に特有の高いオスミウム濃度と低いオスミウム同位体比を三畳紀後期の粘土岩から発見した。これは,巨大隕石の衝突により蒸発した隕石由来の大量のオスミウムが海洋に供給され,最終的に深海底の堆積物中に固定されたことを意味する。

さらに研究では,当時の海洋に供給された隕石由来のオスミウム量を見積もることで,衝突した隕石の大きさを推定することに成功した。計算の結果,衝突した隕石は直径 3.3〜7.8 km と巨大なサイズであったことが明らかになった。2012 年に同研究グループが岐阜県で隕石衝突により形成されたと推定される地層を発見したが,衝突した隕石のサイズについてはこれまで不明だった。

この隕石の大きさは,地球の歴史の中では,恐竜の絶滅で有名な 6500 万年前の「白亜紀/古第三紀境界」に衝突した隕石(直径 6.6〜14 km)に次ぐ巨大なサイズであり,全球的な環境変動を引き起こすには十分な大きさと考えられる。今後,隕石衝突により引き起こされた環境変動について詳細な研究を進める予定。また,隕石衝突が当時の海洋生態系に大きな変化をもたらした可能性も,チャートに含まれる化石記録から明らかになりつつある。化石記録という古生物学的視点も合わせて,巨大隕石の衝突が生物に与えた影響に関する研究も発展させていく予定。

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